事業の承継
・自社株の承継方法を考える
後継者が安定した会社経営をするためには、定款変更、合併等の重要な決議が可能な2/3の議決権株式を承継させる必要があります。しかし何も相続対策を行わずに相続が発生すると、株式が分散して相続され場合によっては会社経営が不安定になる可能性があります。できるだけ前もって後継者を決めておき、生前贈与、遺言等で承継させておくことが必要です。
・事業承継の遺言・死因贈与の注意点
子供に遺言で相続する場合は遺留分に注意しなければなりません。例えばお子さんが3人いて、そのうちの一人に事業を承継する場合、事業以外の財産が他に多くあれば問題ありませんが、ほとんどが事業に関する財産である場合は問題が生じます。一つの解決方法として、種類株式を発行して議決権を後継者に集中させる方法や、黄金株を後継者に持たせ、他の相続人には配当を優先した議決権を制限した株式を与える方法があります。その他、後継者以外の相続人を生命保険の受取人にする等、ケースによっていろいろなやり方がありますが、早いうちに相続税も考慮した上で、対策を考えることが得策です。
・中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律
平成20年10月1日に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下「経営承継円滑化法」と言います。)が施行されます。この法律は総合的支援策として、3つの支援措置を講じています。
1.相続税の課税についての措置
経済産業大臣の認定を受けた非上場中小企業の株式等にかかる課税価格の80%に対応する相続税を一定の要件を満たせば納税猶予する措置です。
2.民法の特例
(1)生前贈与株式等を遺留分の対象から除外できます。
(2)生前贈与株式等の評価額をあらかじめ贈与時点の評価額で固定できます。3.金融支援
経営者の死亡に伴い、必要となる相続税の負担やその他の資金の調達を支援するため、経済産業大臣の認定を受けた中小企業者及びその代表者に対して、中小企業信用保険法の特例や政金公庫法の特例により、自社株等の取得資金の融資や後継経営者による経営安定化資金等の融資ができるようになります。これらの措置により、相続税が大幅に軽減されることになったり、民法の特例により相続人全員の同意があれば、後継者が単独で生前贈与株式等を遺留分から除外する手続きができるようになりました。(従来の遺留分放棄は当事者全員が個別に申し立てを行うことが必要。)
また従来は、後継者へ生前贈与された株式等は、後継者の努力により株式価値が上昇すると、遺留分も上昇するため、経営意欲が阻害される要因になっていましたが、株式等の上昇分が遺留分減殺請求の対象外となり、経営意欲の阻害要因がなくなりました。